ラーメンの町、つくば。
仕事で地方の色々な所に行く度にラーメンを食べては見るが、店によってレベルの差が大きいし、正直なところがっかりする事が多かった。
つくばを知るまでは、東京や神奈川は切磋琢磨する環境があるから他の地域との格差は開く一方だと信じていたが、間違いであった。
つくばは違う。
つくば市の人口は約21.5万人、厚木市が22.5万人なので大体同規模である。
つくばに行って驚いたのは、まずは街道沿いにラーメン屋が多い事である。
つくば市民はラーメンファンが多いのかと目を凝らすと、裏道や路地裏、農耕地帯の集落の一角にもあるわあるわ、ラーメン屋はいくらでも見つけられた。
そして注目店を探して実際に行って食べてみると、オリジナリティ溢れるラーメンを高次元まで追求している店が多いことが分った。
ラーメンという食べ物の最大の特性である、「作り手の自由」が遺憾なく発揮されている様子から、言わばラーメンに関する民度の高さとか文化の高さのようなものを感じたのである。
前回述べたようなつくばで特徴的な濃厚系スープだけではなく、淡麗系スープでも高レベルの店があった。
恐るべし つくば。
★活龍 ★
桜川市に「龍神麺」という人気店があり、その2号店だそうである。
今回取り上げた「龍郎」や「油虎」も同じグループである。
東京の「せたが屋」方式で別系統の店を次々にオープンさせるやり方で、つくば市内で急成長しているようだ。
前回のつくば記事で記した「ハリケンラーメン」の店主も同店の出身とのことである。
活龍本店は、つくば市役所大穂庁舎の南側、スーパーカスミの向いにある。
駐車場は店の前にあった。
奥行きのあるカウンターに、座り心地のよい椅子で、なかなか気分もよい。
シンプルな内装は清潔感を伴う。
「とんこつ醤油」を注文した。
出来上がったラーメンは鰹の香りの強いもの。
茶濁した濃厚で粘度の高いスープに一部極太麺が水面上に顔を出していた。
大き目の巻きチャーシューと、長さがそろえられたメンマと青菜、海苔と丁寧に刻まれたネギが載る。
なかなか美しい盛り付けである。
スープは流行の豚骨魚介で見た目通り超濃厚ドロドロであるが、意外にも舌の上はすっきり通過する。
青菜をスープに浸けて食べるととても旨い。思わずスープを連続して飲んでしまった。
麺はうどんサイズの太麺で、非常にコシが強く、噛むと小麦の風味溢れるとても旨いものであった。
つけ麺以外でゴワゴワとかワシワシという表現が似合う麺には久しぶりに出合い、とても良い思いをした。
メニューには茹で時間が8分掛るとの注意書きがあったが、この店が回転率を犠牲にしてでも提供したかったのはこの麺だったのだと思った。
活龍 本店外観
盛り付けが美しい
具が切り揃えられている
つくば市筑穂1-10-13
あまりに印象的な麺だったので、日を替えて竹園店でつけ麺を食べてみた。
しかし、こちらは本店の「とんこつ醤油」と比べて若干麺が柔らかく感じられた。コシも弱かった。
水で締めているのに、と失望した。
本店も竹園店も、殆どの客がつけ麺を注文していたが、本店再訪の機会があれば「とんこつ醤油」を注文したい。
つくば市竹園1-9-7 林ビル 1F
★龍郎★
活龍と同系列で二郎系を出す店である。
筑波学院大学の近くにある。駐車場は店の前である。
店内はカウンターとテーブル席もあり、15-6人入れる。
入口左の券売機で「豚入りラーメン」を購入した。
カウンターに座って食券を渡すときにトッピングを尋ねられる。
「ニンニクは入れますか?」
二郎スタイルである。
「ニンニク」と応えた。
出来上がったラーメンは二郎で云う野菜増しで、加熱時間が短いシャキッとしたものである。
豚は超厚切り巻きチヤーシューであった。
野菜を押しのけスープを含むと、これが実に旨い。
二郎のスープが乳化し、醤油ダレの角が取れて、トロみを帯びてまろやかな感じである。
家系に例えて言えば、吉村家と壱六家の比較の如く、本家をマイルドにして発展させたとも言える。
そして麺は太めで、のど越し滑らかなツルツルシコシコ系のもので二郎とは全く違う。
豚も旨い。
肉と脂の比率が整った巻きチヤー式で、味付も関内や大野の二郎にレベルに近いと思われる。
しかも写真でご覧の通りのボリュームである。
何から何まで、なるほど二郎にもこのような解釈が在ったかと感心したものであった。
この店には味噌味のメニューがあった。
二郎の味噌・・・
あまりにクリエイティブであり、想像を超えているとしか表現できない。
豚入りラーメン
豚の破壊力
つくば市吾妻3-8-1
★油虎★
やはり活龍一派の店である。
つくば市役所大穂庁舎の北側、飲食店が数件入居するビルの一角にあり、広めの共同駐車場が店の前にある。
以前は活龍の本店があった場所だそうである。
他の活龍一派(龍神一派?)同様シンプルな造りの店舗である。
カウンタの席に着き、基本メニューと思われる「油そば」を注文した。
すぐに女性スタッフから無料トッピングについてどうするか尋ねられた。
メニューを見ると、無料トッピングとは、自家製食べるラー油、きざみにんにく、マヨネーズの3種類である。
「3つお願いします」と応えた。
トッピングはすぐに出された。
食べるラー油は一回限りであるが、ニンニクは必要なだけ追加OKとのことであり、マヨネーズはボトルで出された。
また、カウンター上には油そばがラー油(普通の)や酢と相性が良い云々との案内書きがあった。
出来上がった丼は、麺の上にチャーシューの角切り、肉そぼろ、メンマ、きざみネギ、海苔が載っており、タレは丼の底にあると思われた。
さらに「お口直しにどうぞ」ときざみネギが浮いたスープが出された。
早速タレを麺に満遍なく和えるように混ぜ返しを始めた。
色の濃い醤油ダレが麺を染めて、ソース焼きそばみたいな色になったところで無料トッピングのきざみにんにくを投入、さらに混ぜた。
ここでやっと食べ始めたが、なかなかに旨い。
食べるラー油を投入し、付近を軽く混ぜながら食べると、これも良い。
マヨネーズを加えると、若干の変化が面白い。
出されたものを、ただ味わえばよいというものではないのである。
この調子でラー油や酢などを少しずつ加えて行くとその都度味が変わり、好みの味を探す実験をしているみたいで楽しい。
味の実験をしているので、例えば直前に足した酢で何がどう変化したか判り難いと感じる局面にぶつかる。
口の中で味が混ざるからである。
ここで「お口直しに・・・」と出されたスープが役立つのである。
極薄味の油気のないスープが見事に口の中をリセットする。
小憎らしいほどよく考えられたシステムであった。
食べる側にも味に関する責任があるため、味を公平に評価できない。
しかし、夢中で楽しく食べた事は間違いない。
感想は「もっと酢を足しても良かったかな」である。
無料トッピング3種
油そばとスープ
タレは丼の底にある
具
混ぜ完了
つくば市筑穂1-1-13
★名無し★
田圃の真ん中にある店である。
車以外の交通手段はなく広い駐車場がある。
入口の真上には「名のないラーメン」との表示があった。
冒頭で名前が無いと自己紹介するとは完全に漱石みたいなノリの店である。
行ったのは平日の14:00過ぎであったが、駐車場には10台ほどの車があり、結構な客の入りである。
店内はテーブルと座敷中心で、カウンターは5-6人座れる程度であった。
カウンターに着き、「醤油ラーメン」550円を注文した。
出来上がったラーメンは、透き通った醤油スープに中太の直麺、トッピングはロースのチャーシュー、メンマ、ナルトと海苔にききざみネギが散らばるという正統派中華そば的外観であった。
表面に浮かぶ脂も色が薄く、いかにもあっさりした味を予感させた。
スープを一口含むと予想通りのあっさりであるが、全てが調和する感じで何一つとして突出するものが無い。
生姜も鶏も魚も、そこに居る事は判るが、具体的にどこにいるかは判らないという感じであった。
魅力の正体は判然としないが、もう一口と求めてしまう味である。
また自家製のやや太めの麺は、意外なことに最後までコシがあって旨かった。
突出した特徴は無いが高い完成度を感じたものであった。
以和為貴、ということか。
この店で気がついた事はもう一つ。
この淡麗系のラーメン「名無し」に集まる客層が喜元門やハリケンと変わらないような気がしたのである。
つまり、つくばは老若男女どんなラーメンでも旨ければ食べに行くという、ラヲタの巣窟ではないかと感じたのである。
名前は未だ無い
醤油ラーメン
全てがじんわり旨い
つくば市北条4093
★我城★
我城と書いて「わがや」と読ませる。強引であるが気持ちは分る。
桜土浦インターから国道354号線をつくば方面に少し進み、下広岡交差点を右折すると右側にある店である。
店の周りに広い駐車場がある。
カウンターの中には店主、店の奥の裏口付近には店主の家族がいた。
休日のためか、未就学と思われる児童を含む子供たちがいたが、大変行儀よく静かに遊んでいた。
幼児の時から場所をわきまえた行動が出来るとは、完璧な教育をされているようだ。
もしかしたら、店主は怖いオヤジかもしれないと思った。
メニューを見ると豚骨スープが基本で、魚介スープとブレンドしたり、カレー味やゴマ味を加えたりなどするバリエーションが豊富で、創作ラーメン指向の店のようだ。
店名の文字を使って我○とか○我、○城のような名前をつけたメニューが数多くあった。
今回は初の焼きオニギリ入りラーメンを試したく、店の名前を与えたメニューである「我城」を注文した。
注文すると店主はまずオニギリをにぎり、そしてそれを焼き網にのせて焼き始める。
オニギリの後麺を茹で始めラーメン作りに入るのである。
出来上がったラーメンは今まで見た事がない外観であった。
醤油味のスープは色も薄目の笹濁り程度で割と透明感のあるもの。
これにワカメ、水菜、岩海苔、チャーシューが載る。
そして何よりも目を引くのは、大きな焼きオニギリがこれまた大きな梅干と共にスープに浮かぶ島の如く存在するのである。
若干塩辛い複雑系のスープで、動物系よりはむしろ魚介系が前に出ていると感じた。
トッピングの岩海苔が融け出すにつれ磯の風味を増していく。
表面の脂も少なめでスッキリした味わいである。
時間と共にワカメの香りや梅干から出る酸味が加わってくると和のティスト一杯の梅干茶漬け風に変化する。
「げ、旨い」というスイッチが入った。
麺は中くらいの太さで縮れのない直麺で、スープの中でパラッとしていたものがそのまま喉を通るのが快感であった。
さて、問題は焼きオニギリである。
茶碗一杯の飯くらいはあるサイズであるが、いくら焼いてあるとはいえ、時が経てば少しずつスープの中に崩落していく。
どのタイミングで食べればよいか逡巡し、時にはレンゲで表面を削ってスープと一緒に食べたりしていても、結局麺よりは後に残ってしまった。
食べ終わっているように見えても、丼の底には宝が沈んでいるのだ。
まるで日本近海のメタンハイドレートのようだ。
また、日本人には米を残す事は許されないという信仰もある。
ということで喜んで全ての米粒と共にスープも全て回収してしまう事になった。
完食であった。
ところで食べている間、店主は常連と思われる客と会話していたが、オヤジギャク的トッピングが目立った。
怖いオヤジではなさそうだ。
物静かかな奥方が子供達に厳格な教育をしているのかもしれない。
良い店であった。
「我城」始めて見る光景
あっさり系のスープ
大型の梅干
つくば市下広岡1040-6
★いっとく★
国道408号線の松代交差点近くにある店である。
セブンイレブンや他の飲食店が集まっているところで、共同駐車場らしき広い駐車場がある。
店は少し奥まっているが、丸に「い」印の丼の中に豚が入っている大きな絵の赤い看板が目印である。
メニューには基本のスープと思われる「いっとく味」のほか、味噌があり、それぞれに辛味を加えたものの他、塩味もある。
つけ麺ももあった。
メニューを見るとチャーシューには力が入っているようで、数種類の部位を炙り焼きにした焼豚との説明があった。
チャーシューに魅力を覚えたため、思い切って「ミックスチャーシュウメン」1150円を注文した。
程なくして出来上がったラーメンは迫力あるルックスであった。
表面が赤い吊るし焼きと思われるものと、見るからにジューシーなバラチャーシューとも厚切りでたっぷりと盛られていた。
他には海苔、メンマ、ナルト、ほうれん草のトッピングであった。
見るからにコッテリしたスープを一口飲んで驚いた。
この味は出会ったことがない初めての種類である。
メニューには「和風出汁に香味野菜の西洋風スープをブレンド」のような事が書いてあったが、魚介のスープにポトフの様でもあり、コンソメのようでもあるような香りと若干の酸味が加わった複雑な味わいであった。
特徴的であるが悪くない。この味は何だろうと飲み進むうちに気に入ってしまった。
見た目とは裏腹に酸味がコッテリ感を相殺してスッキリと飲みやすい。
麺は太目の直麺で、表面の細かなザラつきにスープが絡む。
コシもあり、しっかり噛んで食べるタイプでなかなか旨い。
自慢の厚切りチャーシューは2種類のっていたが、煮豚とは異なりロースト肉の肉汁が楽しめる。
値段は高いが肉を食べたと思えば充分リーズナブルである。
訪問したのは土曜日の昼の開店時であったが、次から次と客が入り、食べ終わる頃にはほぼ満席となっていた。
クセのある味であったが、その味がクセになってしまった人が多いということか。
ミックスチャーシウメン
バラチヤー
表面がい赤チャーシュー
見た目はかなりコッテリ感のあるスープ
この裏面が伝票になっている
この看板が目印である
つくば市刈間106-2
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